アルコールストーブという選択

今年の秋はドングリをたくさん採りに出かけました。

自転車に乗って山の中へ。時々歩いて落ち葉に埋もれたドングリを拾う。

平日の山は町の喧噪も届かない。誰も居ない静かな空間。

木々がそよ風に揺れるサワサワした音をバックミュージックにいい年した男が

ひたすら珍しいドングリを探す。

出来れば笠の付いたドングリ。

小さな緑色の赤ちゃんドングリ。

枝に付いたままのドングリ。

シマシマドングリ。

まん丸クヌギのドングリ。

ついでに綺麗に紅葉した落ち葉も持ち帰ろう。

形の良い枝や茎も色々とあるぞ。

採集に疲れてきたら

そろそろ休憩しよう。

体に優しい暖かさの紅茶にしようか。

スマートに家からポットに紅茶を入れて行けば良いのだけど、

あえて、優しい気持ちになった場所や、静かな空気の場所で、

わざわざ時間をかけてお湯を沸かす。

早くて手軽で安くて機能的で。

普段の生活には、そんな言葉があふれている。

せめて今日の、この時間にはそんな言葉に支配されたくない。

お湯を温める。

出来れば静かな空気を壊さない方法で。

お湯を沸かすのに時間が掛かっても良いじゃないか。

アルコールの燃焼する音は、決して周囲の空気を壊さない。

落ち葉の上に座り、上を見上げると

周りの木々が少しだけ高くなった気がした。

Trangia Alcohol Burner & TR-P301